伊達政宗公の臥竜梅(朝鮮ウメ)
今週に入り、仙台でも暖かい日が続くようです。桜の開花はまだ先ですが、梅は昨日(3月25日)に開花したと気象台から発表がありました。
私もこの前、榴岡で咲き始めたばかりの梅(こちらは早咲きの梅)を見てきましたが、今日は伊達政宗公が朝鮮から持ち帰ったとされる梅である臥竜梅について書きたいと思います。
目次
伊達政宗公の「臥竜梅」
伊達政宗公は文禄の役(1592年)で朝鮮に出兵した際、ウメ(梅)の小枝を家臣に命じて持ち帰らせています。最初は岩出山城に植えられ、そして仙台城へ移ったときにそのウメも移植したとのこと。政宗公は晩年、若林城へ居城を移しますが、このウメも一緒に若林城へ移植しました。
この朝鮮ウメは、成長すると地面を這うように枝や幹が伸びていったため
「臥竜梅(臥龍梅)」と呼ばれています。「がりょうばい」「がりゅうばい」のどちらの読み方もあるようです。
この臥竜梅は遅咲きだそうです。
若林城にある「臥竜梅」(古城の朝鮮ウメ)
若林城があったのは、現在の仙台市若林区古城(ふるじろ)。政宗公は自分が死んだら廃城するように遺言し、その建物は二の丸などに移築されました。現在は宮城刑務所となっていますが、臥竜梅は残されています。
この臥竜梅は、最初のウメに接ぎ木したもので二代目なのだそうですが、臥竜梅として国内最大のものとして、国の天然記念物に指定されています。
樹齢は220年以上とも360年ともいわれています。
宮城刑務所では、毎年11月上旬に矯正展を行っており、施設見学のコースの中で一般の人も臥竜梅を見ることができます。残念なのは、11月なので花が咲いているところは見られないこと。そして、施設見学は撮影禁止なこと。
毎年白い花を咲かせており、枝も少しずつ伸びているそうで、高さは9メートル、東西で17メートル、南北では22メートルもあります。一応、柵に囲まれていますが、周りの建物に接するくらいに伸びているので、そこを通るときは枝の下をくぐらなければいけないほどです。
【2015年11月2日追記】
2015年11月1日に行われた「みちのく・みやぎ矯正展」の施設見学に行ってきました。
周りに若木のようなのもあるので余計そうなんですが、何度見ても、元々が1本の木なのかどうかがわからないんですよね。
本当に地を這っているので、地面の中に潜っている部分もあって。
2015年の施設見学は、ブラタモリの影響なんでしょうけど、かなりの人数が訪れていました。
受付時間も長く設けていたようでしたし、一度に入る人数も倍以上だった感じ。
見学者の方に「臥竜梅」と同じく仙台市保存樹木に指定されている「蟠龍の松(はんりょうのまつ)」のポストカードが配られました。
臥竜梅はこの春に咲いたときのものだそうです。
【臥竜梅】
【蟠龍の松】
西公園(仙台市青葉区)
若林城跡から明治8年に分植された臥竜梅があり、仙台市の保存樹木となっていて、樹齢は約200年。櫻岡大神宮の近くにあります。
下2枚の写真は去年(2013年)のものです。
今年(2014年)は昨日(3月25日)見に行ったら上の方でいくつか咲いていました。
(写真は3月26日のもの)
お花見広場になっているため、近くに屋台が並びます。今年も満開のころはこの屋台が少し邪魔・・・(笑)
瑞巌寺(宮城県宮城郡松島町)
こちらの臥竜梅は、瑞巌寺が造られた際(1609年)に、政宗公が手植えしたと伝えられています。紅梅と白梅の2本があり、八重咲きだそうです。宮城県指定の天然記念物です。
大願寺(仙台市青葉区)
(2015年4月2日追記)
政宗公の灰塚がある大願寺。
ここには瑞巌寺にある臥竜梅の後継木があります。
(写真は2015年4月2日のもの)
場所は本堂のちょうど真裏あたりで、灰塚は小さな堀に囲まれています。
臥竜梅は灰塚のすぐそばに植えてあるのですが、囲いがあって近づくことはできません。
説明には「臥龍紅梅」とあります。
他にもある「臥竜梅」
伊達政宗公の臥竜梅といえば、宮城刑務所内と西公園。そして松島の瑞巌寺境内にある3本がわりと知られていると思いますが、調べてみると、伊達家の敷地やその家臣の家などに分植されたようで、今も残っているものがあります。
瑞鳳殿(仙台市青葉区)
瑞鳳殿が再建された際、若林城跡の臥竜梅から接ぎ木したものだそうです。
片平公園(仙台市青葉区)
片平市民センターがある片平公園内にあります。仙台藩士湯目家(青葉区五橋)に植えられていたものをこの地に移植したもので、若林城跡の臥竜梅と同時期のものと伝えられています。
移植時は腐朽していたそうで、今も痛々しい姿ではありますが、治療を行って樹勢は回復しているようです。
【4月3日 追記】
こちらの臥竜梅はなんと八重咲きでした。(写真は4月2日)
聖ウルスラ学院一本杉キャンパス(仙台市若林区)
聖ウルスラ学院の一本杉キャンパスは、伊達家の旧伯爵邸がありました。若林城にあったものを取木したとされ、樹齢は推定約280年だそうです。保存樹木の指定はないようです。学校の敷地内なので、一般の方は見るのが難しいかもしれません。
【2014年11月16日 追記】
11月15日に見せてもらうことができました。
花の時期にまた行きたいです。
仙台市青葉区柏木
伊達家大番士の屋敷地に植えられたもので、おそらくは政宗公の臥竜梅と関係するものと思われます。仙台市の保存樹木で樹齢は145年となっています。
3月19日現在でまだつぼみの状態でしたが、もう咲いているかも。
【4月3日 追記】
こちらも咲いてるところを見に行ってみました。(写真は4月2日)
仙台高等裁判所(仙台市青葉区)
ここは伊達騒動(寛文事件)に登場する人物「原田甲斐」の邸宅があった場所。ここにも臥竜梅がありますが、説明は何もありません。逆臣の邸宅にもあったなんて、今から思うと不思議な気もします。屋敷は取り壊しても、梅の木は残したのかもしれませんが。この地は他にも保存樹木がいくつか残されていますが、臥竜梅は違うようです。
私が今年見た中で、ここが一番最初に花が咲いてました。(3月22日)
仙台市野草園(仙台市太白区)
若林城跡の臥竜梅の接ぎ木したものがあります。
その他
◆宮城県登米市:旧亘理邸にある臥竜梅は若林城跡から取木して植えたものだそうです。
◆愛媛県宇和島市:昭和50年に仙台市と宇和島市の歴史姉妹都市提携調印を記念して仙台市から送られた臥竜梅があります。
◆東京都府中市:郷土の森公園にある臥竜梅は子孫樹のようです。
◆大悲願寺(東京都あきる野市):昭和48年、仙台市に大悲願寺の白萩が贈呈され、そのお返しとして臥竜梅の若木を贈ったそうです。
調べてみるまでは、こんなに伊達政宗公ゆかりの臥竜梅があるとは知りませんでした。
きっともう少しでたくさんの花を咲かせてくれると思いますので、また見に行きたいなと思っています。
それにしても、種類によるのでしょうが、梅の寿命って長いんですねえ。
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